レトロ!鎌倉ゆかりの文学者・文豪と巡る観光スポットへ!
文豪・文学者にゆかりのある地として有名な鎌倉。鎌倉文士・川端康成や、夏目漱石といった文学者が小説のモデルにした町です。
今回はそんな文学レトロな鎌倉を訪れたい方のために、おすすめの文学スポットを集めてみました。
私も実際に訪れてみましたので、よければ参考にしてみてください!
鎌倉と文学
鎌倉は明治期(1889年ごろ)に東京から横須賀線が開通してから以前よりもさらに栄え始めました。
鎌倉に文学者たちが集まるようになったのもこの時期からで、心や体を休める場所としても、別荘を建てる土地としても人気のスポットだったようです。
当時鎌倉を訪れた文学者の中には鎌倉を舞台に小説を書く文豪も多くいました。
古き良き鎌倉のどこに惹かれ、どんな小説を書いたのかも合わせて文学スポットをお楽しみください。
見る・感じるスポット
まずご紹介するのは見て感じるスポットです。
鎌倉と文学といえば外せない文学館、お寺に大仏など、文学者たちが過ごした数々の場所を肌で感じてみて下さい。
・鎌倉文学館
※2023年4月〜2027年3月まで大規模修繕のため休館中
鎌倉文学館は、鎌倉にゆかりある文学者・文豪たちの直筆原稿・手紙・愛用品を保管、展示している文学館です。
レトロな洋館風の見た目とバラの庭園が美しく、どこを切り取ってもおしゃれな雰囲気が出るようですよ。
この鎌倉文学館は三島由紀夫が小説『春の雪』に描写したことでも有名です。
『春の雪』を書くにあたって三島由紀夫は直接鎌倉文学館に取材に訪れたのですとか。
また文学館内部も外観に劣らず洒落た邸宅然としているそうです。
鎌倉ゆかりの文学者たちの足音を感じながら是非訪れてほしい場所です。
・円覚寺
円覚寺を訪れた文学者も多くいます。円覚寺は無学祖元が開山した禅宗寺院であり、”禅”を学ぼうと円覚寺を訪れる文学者が多かったようです。
・総本山 円覚寺塔頭「帰源院」
※帰源院は一般人の出入り不可です。入り口は見ることができるので、雰囲気を楽しみましょう。
塔頭とは高僧(知徳・行いが優れた僧)がおられる塔です。この帰源院を訪れた文学者はこちら!
夏目漱石:1894年(’明治27年)、神経を病んだ夏目漱石が帰源院の門をたたきました。その後夏目漱石は12月末から1月7日あたりまでの約2週間帰源院に止宿し、参禅します。
その時の経験を『門』という小説にて書いています。
また帰源院には夏目漱石の「佛性は白き桔梗にこそあらめ」の句碑が建てられています。
島崎藤村:恋愛の悩みのため帰源院で参禅した藤村もここに止宿したようです。
この時のことを『春』という小説で書いています。
・円覚寺塔頭「佛日庵」
同じく円覚寺の佛日庵を訪れた文学者がいます。
川端康成:佛日庵の本堂にかつてあったといわれる「不顧庵」という茶室で止宿し、もう一つの茶室「烟足軒」の描写がある小説『千羽鶴』を書きあげたようです。
他に有島武郎も円覚寺「松嶺院」に止宿し小説『或る女』を書いています。
・高徳院
何といっても有名なのが国宝の阿弥陀如来坐像。高さが11.3mもある大きな大仏です。
この高徳院にゆかりある文学者は歌人の与謝野晶子です。高徳院には与謝野晶子の歌碑がおかれており、「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」と書かれています。
同じく歌人の星野立子の句碑「大佛の冬日は山に移りけり」もおかれています。
・長谷寺
鎌倉でも最も古い寺の一つとして親しまれている長谷寺。
四季の花など自然も見どころのひとつなっているこのお寺にも文学者が訪れています。
中でも川端康成は戦後昭和21年に長谷に移り住んでおり、長谷寺近く(正確には甘縄神明宮の近く)に邸宅がありました。
川端康成はこの長谷にて『山の音』という小説を書いています。
長谷寺には俳人・高浜虚子の「永き日のわれらが為の観世音」という句碑や、小説家・久米正雄の胸像がおかれるなど、文人に多くかかわっているお寺です。
この他、建長寺の塔頭「宝珠院」に住んでいた葛西善蔵や東慶寺にある高見順の詩碑なども有名どころです。
食べる・飲むスポット
次に鎌倉で文人たちが食べたり飲んだりしたものを味わえる場所をご紹介します!
寺院巡りで少し疲れたら休憩して、文学者たちがかつて愛した味をじっくり楽しみましょう。
・イワタコーヒー
イワタコーヒーは鎌倉で最も古いといわれているコーヒーショップで、レトロで落ち着いた雰囲気の喫茶店です。
1948年オープンで、川端康成やあのジョン・レノンも訪れたカフェなんですよ。
人気メニューの自家製プリンやじっくり焼き上げた分厚いパンケーキはどれもとてもおいしそうです。
イワタコーヒーは小町に入ってすぐの場所にあり、茶色が特徴的なお店となっています。是非立ち寄り文人の休憩タイムを過ごしてみるのはいかがでしょうか。
・柴崎商店
明治22年創業の柴崎商店は、今も配達を続ける牛乳屋さんです。
ここは、夏になると芥川龍之介が牛乳を飲んだお店として知られており、レトロな見た目も当時の雰囲気を強く感じます。
過ごしにくい夏ですが冷たい牛乳を飲むと元気になれそうですね。
・二楽壮
1934年に開店した中華料理店「二楽壮(にらくそう)」。大佛次郎などをはじめ、多くの文学者が訪れたことで有名です。
特に人気メニューの「花シュウマイ」はこうした多くの著名人のために特別に用意されたのが最初だそうです。
今でもその味は変わらず健在のため、一度行って堪能してみるのも良いかもしれません。
実際に観光したコース
ここからは私が鎌倉を実際に歩いた時のコースをご紹介していきたいと思います。上記に書いたスポットも全てではありませんが少し回ってみました。
少しでも現地鎌倉の雰囲気を感じて参考になれば幸いです。
・まずは円覚寺へ
まずは北鎌倉駅で降りて円覚寺を目指します。北鎌倉で降りてしまえば円覚寺はすぐそこ!
入り口近くにはこのような看板もあり、目印にもなりますし文学者とのゆかりを感じることもできます。
この入り口を抜けて受付を済ませたら、右手側の赤いコーンを目指しましょう。坂に沿って登っていくと、円覚寺塔頭「帰源院」の入り口が見えてきます。
一般人に立ち入りできるのはここまでですが、帰源院入り口にこのようなものもありました。
句碑は山門の中に入らないと見れないそうなので、機会があったら是非拝みたいですね。
次に少し戻るため坂を下り、国宝の鐘や門を鑑賞できます。そのまま右の脇道あたりをしばらく歩いて階段を登っていきましょう。
左手に佛日庵が静かに佇んでいます。
こちらで参拝を行います。佛日庵は参拝のみもよいですし、参拝とお抹茶をいただくこともできます。今回はせっかくなのでお抹茶もいただきました。
そしてこちらが川端康成が『千羽鶴』に描いた茶室「烟足軒」になります。
日本の古くからのわびさびを感じられる茶室です。
時間が足りず個人で行ったのはここまでになりますが、他にも観光できる場所がたくさんあります!広い境内ですので円覚寺を本格的に楽しみたいという方は、円覚寺だけで1時間ほど時間を取ることをおすすめします。
円覚寺から下っていくと建長寺や鶴岡八幡宮に行くことができますが、今回は電車に戻り鎌倉駅に直行しました。
・老舗の喫茶店イワタコーヒーへ
休憩も兼ねてイワタコーヒーへ入ります。
イワタコーヒーは鎌倉駅を降りて小町に入ったすぐ右手に見えます!見逃さないように気を付けましょう。
お店おすすめの自家製プリンとパンケーキをいただきました。プリンはなめらかで固めの感触、パンケーキは表面がカリッとしていて中がふわふわです。
量が多めので誰かとシェアしながら食べるのがいいかもしれません。
鎌倉文士がここで休憩をとっていたことを考えながら楽しんでみてください。
・長谷寺へ
次に江ノ島電鉄に乗って長谷駅へ着きました。長谷駅から10分ほど歩いたら長谷寺です。
季節の花が素晴らしい長谷寺。蓮を見ることができました。
真ん中の階段に沿って登っていくと街を一望できます。
川端康成が聞いた山の音をじっくり感じてみてほしいです。
・高徳院へ
そのまままた歩いて10分で高徳院につきます。
ここには有名な鎌倉大仏が置かれています。
今回私は撮れませんでしたが与謝野晶子の句碑は大仏の裏側にあるそうです。忘れずにご確認ください。
・鎌倉文学館を確認
今は閉館中の鎌倉文学館周辺を少し歩きました。周りはかなり住宅街といった感じです。鎌倉文学館の現在はこのようになっています。
鎌倉の文学巡りといえば鎌倉文学館!というところがありますから、再度開館した際には是非訪れたい場所ですね!
感想とまとめ
鎌倉文学ゆかりの地をご紹介、また自分で訪れてみました。いかがだったでしょうか。
鎌倉文学館によれば鎌倉にゆかりある文学者は300人以上いるといわれているらしく、鎌倉がどこを回っても文学を感じられる古都であることがよくわかります。
是非あなたの好きな日本文学を感じるために行ってみて下さい。
そして文学者や鎌倉文士を身近に感じることができれば幸いです。